ウェルコインターナショナルより皆様にお届けするリサーチ・ジェットストリーム。各種企業が実施したマーケティングリサーチの結果から、日本マーケットの今を感じる最新情報をお届けします。
今回のテーマは「新築マンション購入」です。大手銀行で住宅ローン金利の引き上げの動きが報じられる中、各社の発表したリサーチ結果から「マンション市場の変化」を考えます。コロナ禍の生活と価格の高騰はマンションの購入に、どの程度の影響を与えたのでしょうか。
今回は下記の4つのリサーチ結果をご紹介します。
1 一都三県で平均坪単価が前年同月比7.5%上昇(2022年2月度 分譲実績)
2 都区部では購入を諦める、ためらうほど高いという回答が70%に
3 世田谷区、港区の人気が下落「全国住みたい街ランキング2022」
4 東京都からの転出増はテレワーク普及ではなくマンション価格の高騰が原因か
1 一都三県で平均坪単価が前年同月比7.5%上昇(2022年2月度 分譲実績)
不動産ビッグデータとAI等のテクノロジーを活用し、不動産情報プラットフォームを提供する株式会社マーキュリーリアルテックイノベーターは、独自調査による新築分譲マンションの動向を発表しています https://news.real-net.jp/ 。
景気の先行きが見えないのにもかかわらず、一都三県の新築マンションの平均坪単価は前年同月比で7.5%上昇となっています。
2 都区部では購入を諦める、ためらうほど高いという回答が70%に
分譲マンション購入・売却検討者28万人を有する不動産のセカンドオピニオンサイト「住まいサーフィン」(https://www.sumai-surfin.com/ は、マンション購入検討者の定例意識調査を行っています。
都区部では購入を諦める、ためらうほど高いという回答が70%に達し、消費者意識からもマンション価格の高騰が裏付けられています。
3 世田谷区、港区の人気が下落「全国住みたい街ランキング2022」
同時期に発表された、株式会社ウェイブダッシュが運営するみんなでつくる地域応援サイト「生活ガイド.com https://www.seikatsu-guide.com/ 」の「全国住みたい街ランキング2022」では福岡市、名古屋市の人気が急上昇しています。4位だった世田谷区は5位に、3位だった港区は7位に順位を下げ、トップ5から後退しています。
人口動態がわかる「転入超過率」と「全国住みたい街ランキング2022」を比較すると2つの区は「転入超過率」のマイナス幅が大きいことが分ります。ランキングと実態はリンクしています。
4 東京都からの転出増はテレワーク普及ではなくマンション価格の高騰が原因か
コロナ禍でテレワークが多くなり、通勤時間よりも家の快適度向上を求めて、郊外に転居する人が増えていると言われています。そうではないという意見もあります。
投資用不動産を扱う株式会社グローバル・リンク・マネジメント https://www.global-link-m.com/ は2021年の東京都及び東京都区部の人口動向、転入・転出動向を分析し、2022年1月公示地価の東京の概況についてレポートを発表しています。
2021年の東京都の転入超過数を男女別にみると、依然として女性は転出よりも転入の方が上回っています。コロナ禍2年目においても、15~24歳の女性若年層が東京都に集まり続ける傾向が強いことを示しています。
30~40歳代の「子育て層」はテレワーク実施率が低下した10月以降も転出超過が継続しています。ここから推測されるのは、これら「子育て層」が今よりも広い住宅を求めて転居を考えたときに、東京都区部のマンションは手が出せる状況でなく、週何回かの通勤に耐えられる隣接県の郊外に転出した、というのが実態ではないでしょうか。テレワークの実施回数は「週1日」(35.3%)と「週2日」(19.0%)で過半数を占めており、東京への通勤無しで仕事ができるような完全テレワークが必ずしも普及しているとは言い難い状況です(東京都産業労働局「テレワーク実施率調査報告」2022年1月7日発表)。
これまで、東京から郊外や地方への人口流出は、コロナ禍の生活、テレワークの普及による働き方改革を原因として、マスコミ等で大きく報じられてきました。しかし、実際には、センセーショナルな話題よりも、基本に立ち返って、価格というもっと大きな原因を見落としてならないと感じる調査結果の分析レポートでした。
今回は4つのプレスリリースから気になるリサーチ結果をご紹介しました。
リサーチの概要、より詳しいリサーチ結果等はリンク先よりご覧ください。
1 一都三県で平均坪単価が前年同月比7.5%上昇(2022年2月度 分譲実績)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000177.000018769.html
2 都区部では購入を諦める、ためらうほど高いという回答が70%に
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000239.000007875.html
3 世田谷区、港区の人気が下落「全国住みたい街ランキング2022」
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000195.000006408.html
4 東京都からの転出増はテレワーク普及ではなくマンション価格の高騰が原因か
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000127.000020953.html
見逃せないキーワード
ご紹介した4つのプレスリリースからピックアップしたキーワードはこちらです。
・東京23区の販売価格が引き続き高い水準 ・1年後の価格変化が更に上がる ・今後も価格は下がらない ・今は売り時だと思う ・購入を諦める、ためらうほど高い ・通勤時間よりも家の快適度向上 ・郊外に転居 ・人口の流動に変化 ・東京都の総人口が年間で減少 ・東京一極集中の流れが変わった ・出生者数の低下 ・外国人の国外転出 ・マンション価格の高騰が原因 ・子育て層の転出超過が続く ・女性全体では転入超過を維持 ・30~40歳代の青壮年層の女性が東京都に住み続ける傾向が強い ・隣接3県への転出超過数が大幅に拡大 ・完全テレワークが必ずしも普及しているとは言い難い状況 ・大半は東京都区部のマンション価格高騰を要因に隣県3県に移動 ・地方への移住はごく少数
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