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リサーチ・ジェットストリーム

潜在的転職希望者増大!人材確保のカギはテレワーク!

ウェルコインターナショナルより皆様にお届けするリサーチ・ジェットストリーム。各種企業が実施したマーケティングリサーチの結果から、日本マーケットの今を感じる最新情報をお届けします。

今回のテーマは「コロナ禍での人材採用」です。各社の発表したリサーチ結果から「コロナ禍での人材採用」の現状と「仕事選びの変化」「幸福度」を探ります。

<要約>純雇用予測は全四半期より悪いが業種で様々。その中で20代、30代の半数が検討しているが、働きやすい転職先の探し方がわからない。テレワーク実施は横ばい。でもみんなテレワークやりたい。生活重視だからいい人取りたいなら生産性も高いフィンランド目指せ!

今回は、「5つの調査結果から読み解くコロナ禍の人材採用」をご紹介します。

1 日本の雇用意欲、11業種中9業種において雇用意欲改善の見込み
2 20代30代の約半数が転職を意識している
3 「働きやすい企業の探し方が分からない」と答えた就活生は78%
4 第6波における正社員のテレワーク実施率は全国平均で28.5% 従業員のテレワーク実継続希望率は過去最高
5 幸福度ランキングで日本は54位 1位は5年連続でフィンランド

1 日本の雇用意欲、11業種中9業種において雇用意欲改善の見込み

マンパワーグループが発表した2022年第2四半期雇用予測リサーチ結果(東京・大阪・名古屋の企業等1,023社から回答)によると、季節調整後の純雇用予測は+6%で、前四半期比より3ポイントマイナス。雇用意欲はコロナ禍の影響により2期連続で前四半期よりマイナスとなっています。


*純雇用予測: リサーチ結果のうち「増員する」と回答した企業数の割合(%)から「減員する」と回答した企業数の割合(%)を引いた値。

*季節調整値: 月々の変動の癖(季節的要因)を除去したことを推計した値で、リサーチ開始から3年以上経っている国で適用しています。日本では2006年第3四半期から適用しており、全て季節調整値をもとにした分析値を指標にしています。

*11業種:「銀行・金融・保険・不動産」「建設」「教育・医療・福祉・行政」「IT・技術・通信・メディア」「製造」「非営利」「第一次産業」「レストラン・ホテル」「卸・小売」「その他サービス」「その他産業」

しかし、全ての業種でマイナスというわけではありません。業種別では、リサーチ対象の11業種中、9業種で増員予定となっています。「第一次産業」が前四半期比で19ポイント増と最も堅調な見通し(+22%)を示し、「IT、技術、通信、メディア」(+18%)がそれに続いています。一方、 「非営利」 の純雇用予測は -15% 、「教育・医療・福祉・行政」 は-1%で、前四半期比でそれぞれ27ポイント減、 16ポイント減となっています。

業種別雇用予測

2 20代30代の約半数が転職を意識している

そのような環境の中、より良い仕事環境をさがして転職を意識している人が多数います。Marketing Media Labによると、20代-30代の10%が現在転職活動を行っており、転職活動は行っていないもの転職に興味があると回答した人が35%と、アンケート回答者のおよそ半数が転職予備軍であることが判明しました。 多くの企業が厳しい経営環境にあるものの、優秀な人材の流出防止が大きな課題となることが分ります。逆に、人材難に悩む企業にとって、この状況はチャンス到来とも言えます。

3 「働きやすい企業の探し方が分からない」と答えた就活生は78%

転職したい人は多い。しかし、優秀な人材を見つけ出すのが難しいと考えている経営者、採用担当者が多いのではないでしょうか。何が人材採用のボトルネックとなっているのでしょうか。

就活攻略論(https://shukatu-man.hatenablog.com/)を運営する株式会社L100は「2023年度卒業の就活生が企業を選ぶ上で最も重視するポイントの調査結果」を発表しました。新卒の就活生が対象のリサーチですが「企業を選ぶ上で最も重要視するポイント」は「働きやすさ」が圧倒的な第1位。「仕事のやりがい」「会社の安定性」「給与や賞与の高さ」を大きく上回りました。



一方で「働きやすい企業をどのように探せば良いのかが分からない」と悩む就活生が非常に多いのも現実です。「働きやすい企業の探し方が分かりますか?」という質問に対して、「全く分からない」が23.7%、「どちらかと言うと分からない」が55.1%という結果になりました。合計すると「働きやすい企業の探し方が分からない」という就活生は78%にものぼります。



多くの就活生は口コミだけではなく、動画視聴に積極的だと言われています。「社員インタビュー」や「職場案内」動画が多く視聴されています。「働きやすい企業」であることを伝えるコミュニケーションの重要性が増しています。

4 第6波における正社員のテレワーク実施率は全国平均で28.5% 従業員のテレワーク実継続希望率は過去最高

働きやすい企業」のバロメーターとなったのがテレワークの実施率です。パーソル総合研究所のリサーチによると、新型コロナウイルス感染症の感染第6波が急拡大していた2022年2月4日-7日時点でのテレワーク実施率は、正規雇用社員(以下正社員)で28.5%。昨年夏の第5波の27.5%からほぼ横ばい(+1.0ポイント)です。テレワークの頻度について2月までの3カ月推移を見ると、12月は週平均0.87回、2月は0.99回で微増しています。


新型コロナウイルス感染者数とテレワーク実施率の推移


直近3ヶ月(21年12月-22年2月)のテレワーク頻度

テレワークに関する企業方針は、テレワーク推奨+命令の合計で38.6%と、昨年夏の第5波の37.3%からほぼ横ばい。「特に案内がない」が57.4%と高くなっています。テレワークを積極活用する企業は増えていません。

企業のテレワーク方針


ところが、横ばいとなっているテレワークの企業方針と相反して、テレワーク実施者のテレワーク継続意向は過去最高となりました。





ここに、企業側と人材の意識のギャップが生まれている可能性があります。「働きやすい企業」であることを伝えるコミュニケーションは難しい。しかし、テレワークを実施することが「働きやすい企業」であることを示すシンボルになるかもしれません。

5 幸福度ランキングで日本は54位 1位は5年連続でフィンランド

国連の持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)がまとめた2022年版の世界幸福度ランキングで、フィンランドが5年連続の1位になりました。ランキングは健康寿命、1人当たりGDP(国内総生産)、困った時の社会的支援、汚職の少なさと社会的信頼の高さ、人々が助け合う地域社会の寛容性、人生で大切なことを決める際の自由度に基づいています。

ポプラ社『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事は終わるのか』(堀内都喜子著)は、フィンランドが幸福度ランキング世界1位である理由を、フィンランド人の働き方に焦点を当てて紐解いた本です。10万部を突破しました。フィンランドは、コロナ禍に突入以前から在宅勤務3割を実現していました。有休消化は100%で、平均睡眠時間は7時間半。それでも、一人あたりのGDPは日本の1.25倍。午後4時になるとオフィスから人がいなくなるフィンランドでは、夕方からは、家族と過ごしたり、趣味や勉強に時間を使ったりするそうです。

日本人の働き方は大きく変わりました。「コロナ禍での人材採用」のあるべき姿がリサーチ結果から見えてきます。目指すべき未来は北欧にあるのかもしれません。今回は5つのプレスリリースから気になるリサーチ結果をご紹介しました。

リサーチの概要、より詳しいリサーチ結果等はリンク先よりご覧ください。

1 日本の雇用意欲、11業種中9業種において雇用意欲改善の見込み

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000188.000009974.html

2 20代30代の約半数が転職を意識している

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000082766.html

3 働きやすい企業の探し方が分からない」と答えた就活生は78%

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000096418.html

4 第6波における正社員のテレワーク実施率は全国平均で28.5% 従業員のテレワーク実継続希望率は過去最高

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000617.000016451.html

5 幸福度ランキングで日本は54位 1位は5年連続でフィンランド

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000436.000031579.html

見逃せないキーワード

ご紹介した5つのプレスリリースからピックアップしたキーワードはこちらです。

・「第一次産業」が最も堅調 ・名古屋、大阪、東京で増員予定 ・若者の45.4%が転職予備軍 ・企業選びの1位は「働きやすさ」 ・オンライン選考での就活早期化 ・働きやすい企業の探し方が分からない ・平均で3年後3割の方が早期退職 ・ホワイト企業の採用力 ・濃密な理解 ・テレワークを定着させる具体的工夫 ・テレワーク実施率はほぼ横ばい ・テレワーク継続意向は過去最高 ・オンライン・コミュニケーションを増やす施策 ・働き方への工夫 ・残業せず効率よく働く ・ゆとりのある暮らし方・生き方 ・働き方と生き方は密接につながっている

Posted by  石井